便利堂が主催するハリバンアワードは、約170年の歴史をもつアナログ写真技術と、現代写真のアート性を繋ぐ取り組みです。便利堂が継承する写真古典技法「コロタイプ」を多くの写真家やアーティストに知っていただきたいとの思いから2014年にスタートしました。「玻璃(はり)」とは古い日本語でガラスを意味します。コロタイプは版にガラス板を用いることから、かつては「玻璃版(はりばん)」と呼ばれていました。
この名前に由来するこのアワードは、プロ、アマチュアを問わず白黒写真を用いて制作をする全ての写真家・アーティストに開かれています。審査には写真分野で世界的に活動するキュレーターや出版関係者、写真家の方々をお迎えし、厳正なる審査をとおして受賞者が選出されます。最優秀賞を受賞した作家は京都に招聘され、2週間の滞在期間中に熟練職人からコロタイプを学び共にプリントを制作します。
2週間の京都滞在
審査員の厳正なる審査の結果、すべての応募の中で最も得票数の多かった作品が最優秀賞に選出されます。
・受賞作から8イメージを選び、工房の熟練職人と共にコロタイププリントを制作します。
・コロタイプアカデミーの手刷りワークショップをとおして、コロタイプの成り立ちと制作方法を学びます。ワークショップの最初にハガキサイズと8x10inch の版が一枚ずつプレゼントされます。
・便利堂の社員や職人に向けたアーティストトークと交流会が開催されます。
個展の開催
制作した8点のコロタイププリントは、翌年春に開催する個展で発表します。
公式カタログへの作品の掲載
2025年4月に刊行されるHARIBAN AWARD2024の公式カタログに作品が掲載されます。
※ 2週間の京都滞在にかかる旅費、宿泊費、制作費と個展の開催にかかる費用は賞に含まれます。 ※ 京都滞在は、2024年10月以降に日程を調整の上、決定します。
それぞれの審査員は、審査に応募された作品群の中から審査員特別賞を選出します。審査員特別賞を受賞した作家は選出した審査員から選評が贈られるほか、受賞作品(3点)と略歴が HARIBAN AWARD 2024の公式カタログに掲載されます。カタログは翌春に刊行され、完成後に受賞者に謹呈されます。(使用は個人使用に限ります。)
副賞:HARIBAN AWARD 2024では、審査員特別賞受賞者への副賞として便利堂コロタイプアカデミー*5日コースの授業料免除特典が送られます。(旅費・宿泊費は賞に含まれません。)
便利堂賞は便利堂CEO鈴木巧によって選出されます。選評が贈られるほか、受賞作品(3点)と略歴がHARIBAN AWARD 2024の公式カタログに掲載されます。カタログは翌春に刊行され、完成後に受賞者に謹呈されます。(使用は個人使用に限ります。)
副賞
HARIBAN AWARD 2024では、審査員特別賞受賞者への副賞として便利堂コロタイプアカデミー*5日コースの授業料免除特典が送られます。(旅費・宿泊費は賞に含まれません。)
最優秀賞、審査員特別賞、便利堂賞の受賞者決定後、上位数名に奨励賞が贈られます。受賞作品(1点)がHARIBAN AWARD 2024の公式カタログに掲載され、カタログ完成後に受賞者に謹呈されます。(使用は個人使用に限ります。)
受賞者の作品を掲載した公式カタログを出版します。カタログは全ページコロタイプで印刷され、京都の職人によって和綴の冊子に仕上げられます。
審査
全ての審査員によって審査が行われます。審査員は個々の応募作品に対し5段階評価で点数をつけ、審査期間終了後に評価がまとめられます。総合的に高いポイントを獲得した応募作品が最優秀賞に選ばれます。
決戦投票
1回目の審査期間終了後、複数の作品が最高得点に並んだ場合、決戦投票が行われます。決戦投票では、審査員は先の審査と同様に個々の応募作品に対し5段階評価で点数をつけます。その結果、得点数の最も高かった作品が最優秀賞に選ばれます。
審査員特別賞
最優秀賞決定後、最優秀賞を除く全応募作品からそれぞれの審査員が審査員特別賞を選出します。
※ 審査はオンライン上で行われ、それぞれの審査員が個別に実施します。 ※ さらに、それら以外で得点数の高かった作品の上位6〜9作品が奨励賞に選出されます。
便利堂は1887年に創業し、1905年にコロタイプ工房を開設以来、120年に渡ってコロタイプを継承してきました。今ではコロタイプを実践する工房は世界をみても希少となりましたが、繊細で完成度の高い多色刷りコロタイプを次世代に繋ぐべく活動を続けています。
コロタイプは、1855年にフランスの科学者アルフォンス・ポアテヴァンによって発明された写真古典印画技法の一つです。当時の写真プリントは画像の保存性が低く、次第に退色・変色してしまうという欠点がありました。それを補うために顔料を用いるさまざまなプリント方法が考案され、その中で確立された技法の一つがコロタイプです。これによって高い保存性を獲得しただけでなく、ひとたび版に顔料を入れると、版画の要領で多数のプリントを制作することが可能になりました。ドイツのジョセフ・アルバートによって実用化され世界に広く普及し、アメリカから日本に伝わりました。